米ぬかパワーと土ごと発酵のシステム


米ぬか撒きを四季を通して行なっていくと土の状態は季節によって劇的に変化していきます。それを微生物の働きと結びつけて考えてみるととても納得がいくように思います。土ごと発酵のシステムを私なりに考えてみました。

米ぬか撒きを数年続けてきてわかってきた季節による土の変化を私なりに微生物の性質や働きと結びつけて振り返ってみました。

冬に米ぬかを撒くと、堆肥マルチの下には、びっしりと白い菌糸が張ります。それは、低い温度が好きと言われるこうじ菌ではないでしょうか。ふわふわの菌糸を持ち、発酵のスターターというこうじ菌が、まだ寒いうちから土ごと発酵の準備を始めていたのかもしれません。また、冬に米ぬかや堆肥と一緒に撒くカニガラは、放線菌の大好物。寒いところが好きなこの放線菌は、冬の間もカニガラを餌に活動し、悪玉菌をやっつけてくれていそうです。

春の葉菜類が終わり、葉菜のクズや抜いた一年草を有機物マルチとして畝に撒いて米ジョーを続けます。気温が高くなると、暑いのが大好きな納豆菌の仲間の枯草菌が活躍しだし、有機物をどんどん分解してくれて。冬に撒いた堆肥も気がつくと形が見えなくなっています。それと同時に、土は、まるで赤だま土のように団粒化します。これも、ねばねばの分解酵素を出す枯草菌の働きなのでしょう。夏が暑ければ暑いほどこの働きは活発なように思います。

暑さが和らいでくると、今度は、乳酸菌の出番です。この菌は、米ぬかが大好き。有機酸を作り出し、土を殺菌するとともに、植物を丈夫にしてくれる頼もしい菌です。秋もどんどん米ぬか撒きを続けます。

そして、土ごと発酵の仕上げは酵母菌です。それまで様々な菌たちがリレーしながら分解してきた有機物を再合成し、有益なアミノ酸やビタミンを作り出してくれるのです。これによって、土は劇的に肥沃化します。土ごと発酵を続けていけば、肥料も最小限で済むようになるはずです。

このような考え方を下の図のようにまとめてみました。菌の働きや性質については、農文協の”現代農業2000年10月 土・肥料特集号”を参考にしました。正直言うと、4年前、この記事を初めて読んだ時は、難しくてほとんど意味を理解できなかったのです。しかし、米ぬかによる土ごと発酵の実践を数年続けてきて、ああ、こういうことだったのか!とすごく納得がいくようになりました。つい最近のことです。
多分自然界では、このシステムが毎年ごくあたりまえのこととして繰り返されているのでしょう。だから、誰も肥料をあげないのに森や林が育っていくのでしょうね。