いま、食品の安全が問題になっています。われわれが普段口にするものには、見た目や味を偽装し、保存期間を延ばすために大量の人工物質が添加されています。「利益さえ出ればいい」という市場原理の行き着いた先が、大量生産と大量消費であり、そのため食品の安全は二の次になっているのです。さらに‘11年の原発事故による放射能汚染の問題も深刻です。
コロナ騒動→経済危機、この災害のような状況において、地域コミュニティ(人との繋がりや助け合い)の大切さを改めて実感しています。また、食や健康に対する危機意識は日増しに高まっています。今こそ、農業が社会の期待に応えなければならない時代なのです。
ところがその一方で、日本の農業は危機に瀕しています。食料自給率が低下する中、市場での価格競争に晒された国内の農産物は低価格で取引されています。そのため採算が取れず、農家の経営難が後継者不足を引き起こして耕作放棄地が激増。農の現場では、確実に荒廃が進んでいるのです。
“食”の基盤たる農業は、かつてない危機に直面しているといえるでしょう。
「高度成長と消費社会の中で、工業製品やサービス業に比べて、一次産業(≒生活必需品)の単価の低さから収益が上がらない農業は、衰退の一途を辿ってきました。都市を中心に、食への不安と関心が高まる一方、農村では担い手が育たない。つまりは都市も農村も、消費者も生産者も共に不全を抱え、どこに向かえばいいのか行き場を失い続けていると言えます。
「農の再生」を目指して2008年に活動を開始した「菜園生活かぐれ」も、一時はこうした赤字構造とお上任せの今までの農業のあり方に違和感を持つ時期がありました。しかし、協働仲間と可能性を探索していく中で辿り着いたのは、安全な農産物の「物的生産」だけに留まらず、農業・農村の多面的機能(農と食・環境・健康・コミュニティ・教育や子育てなど)を活かした生きる力を養う自給・自考の生産現場として、新しい認識を発信していく「意識生産」事業としての現場からの発信だった。そこから新しい地域共同体事業が芽吹いて行くことになる。
例えば、安全・安心な農産物の消費だけで、本当に人は健康になれるのだろうか?という疑問があります。これは日常の食事や生活習慣だけの問題でなく、社会構造そのものの問題であり。医療や健康、環境、子育て・・・など、幅広い社会認識についてもとことん追求していく必要があるのではと。
少なくとも世の中には、化学物質だけを取り上げてもさまざまな社会毒があり、それらは私たちを取り巻く環境または肉体や精神の問題にも深く関わっています。そのような社会毒とどう付き合っていくのか?を考えなくてはいけません。食や農を追求する中から、現代社会の構造を掴み取っていくことが大切になっていきます。
・現代医療の社会構造(医者ってどうなん?薬ってどうなん?)
・農薬や食品添加物などの人工物質についての知識や判断。
・心身の状態を客観的に診ることができる術(陰陽五行、望診法、顔診法)。
・日常生活の中で自然治癒力を高め「毒出し=デトックス」ができる健康法
・食事療法やファスティング・瞑想
・家庭で行う自然療法やお手当に使う商品やグッズの紹介
など、様々な相談を承っております。
薬や医者に頼らずとも、本来は自分たちの自然治癒力で健康は維持できるとする医食農同源に基づいた情報を提供していくこと。
そして2015年、養生研究所として「かぐれ菜園工房」を発起して、新たな挑戦が始まった。
まず着手したのは、食の見直しだった。生命力の高い食材の生産はもちろんのこと、養生に役立つ健康法や商品を信頼できる仲間とともに取り揃えた。それらは、単なるモノではなく思いや情報を乗せた商品で、消費者を惹きつける魅力や志があるものである。
消費者が食に安全安心を求める機運は上昇する一方、情報が溢れて何を選べば良いのか分からないという人も多い。農薬を使うか・使わないかといった浅い認識に留まらず、将来に渡って持続できる安全・安心を確保していくには、どんな生産をし、どんな商品を選んで行けば良いのかよく考えなくてはならない。
「かぐれ」が目指す日常に養生(生きる力を養う=自給・自考する)を取り入れる生活は、安全・安心のさらに奥にある人々の期待に応えることにほかなりません。そういった供給者と相談者が共に追求に向かい、ひいては生きる活力を取り戻すことに繋がる仕事。人々の意識の最前線に立ち、社会を牽引する仕事になって行くに違いないと思っています。
これからの時代は、自分には関係ないと何をするにも他人事にせず、社会の当事者として生きる環境を作っていくことが最も重要だと考えられます。少しずつですが皆さんと共に勉強し、共有できる場を設け、この活動の広がりを夢見て活動していきます。まだまだ発展途上の農家兼養生研究所ですが、長い目で応援して頂けると幸いです。