乳製品は体に良くない?

牛乳をはじめとする乳製品は、一昔前までは健康的な食品と認識されていました。しかし、栄養の観点から乳製品をみていくと、注意しなければならない成分があります。

まずは「乳糖(ラクトース)」です。乳糖は、体内で「ラクターゼ」という酵素によって消化されます。この酵素は、年齢とともに少なくなっていくため、成人になると消化不良を引き起こしやすくなるとされています。乳製品をとると腹痛や下痢が起きやすい主な原因はこれで、一般的に「乳糖不耐症」と呼ばれています。

日本人は、昔から乳製品を食べてこなかった民族であるとされているため遺伝子的に乳糖不耐症の人が多く、一説には8割もの人が乳糖不耐症であるといった研究報告もあります。歴史的に乳製品を食べてきた北ヨーロッパやモンゴルをはじめとする中央アジアの人々は、消化酵素を持っている人が多いそうです。

乳製品に含まれている成分で、もう一つ見落としてはいけないものが「カゼイン」です。カゼインはタンパク質の一種で、グルテンと同様にアレルギーを起こしやすい成分として知られています。カゼインは腸内環境を悪化させ、特に腸壁などの粘膜の炎症を誘発するとされています。いま患者が増加しているリーキーガット症候群やクローン病、アトピーなどは、この炎症反応が関係していると考える医師や専門家は少なくありません。身体の免疫機能の7割を占めている腸内環境が乱されれば、免疫力は下がり風邪やインフルエンザなどの発症のリスクも高まるため、できるだけ避けた方がいい成分と言えるでしょう。

乳製品の中でも、ヨーグルトやチーズなどのように、乳糖の含有量が少ないものもありますが、カゼインは牛乳同様に含まれているので、摂り過ぎには注意が必要です。バターやギーなどは、乳糖やカゼインは殆ど含まれていないので、栄養成分的には問題ないと言えるでしょう。

現代の乳製品は、ホルモン剤や農薬、抗生物質などの影響を受けた牛の生乳が原料であるため、副次的な健康被害を防ぐことはなかなか困難です。乳製品を摂る場合は、グラフェッドビーフ(牧草牛)の安全な生乳を使用したものを中心に、ラクトースフリー、カゼインフリーのものを選ぶと良いでしょう。また、ココナッツミルクや豆乳(遺伝子組み換えでない)などを代用するのも一つです。