がんや慢性疾患を寄せつけない!食事スタイル

ビーガン食とケトン食の注意点

がんをはじめ、食事制限が必要な病気を抱えながら、毎日の食事レシピを考えるのは簡単ではありません。一口に、がんや糖尿病といっても病気の進行具合や状態によって必要な栄養量は人それぞれ違いますし、標準的な食事が全ての人に当てはまるものではないからです。

健康を維持するための食事スタイルとして、最近は「ビーガン食」や「ケトン食」に取り組む人も増えています。

ビーガンとは、卵や乳製品を含む動物性食品をいっさい口にしない「完全菜食主義」の食事です。野菜や果物を主体にビタミン、ミネラルも補給できる体にやさしい食事ですが、動物性食品を一切摂らないことからタンパク質不足に陥りやすく、穀類や芋類など糖質の制限もないので、過剰摂取には注意が必要です。

ケトン食は、エネルギー源を糖質から脂質に変えることで、体に負担の少ない代謝を可能にします。糖質を極力排除し、肉や魚、卵などのタンパク質と、バターやココナッツオイルなどの脂質を中心に摂取することから、糖質の過剰摂取も防ぐことができる食事スタイルです。しかし糖質制限ばかりに気を取られ、油の補給が疎かになったり、肉の食べ過ぎなどから栄養がタンパク質に偏りやすく、代謝に必要なビタミン、ミネラルや植物栄養素が不足するケースもあるようです。

 

毎日の食事にがんは慣れる

もう一つ、がんの栄養療法で有名なものに「ゲルソン療法」があります。ゲルソン療法は、がんのエサになる塩分と糖分を排除し、カリウムやマグネシウムが豊富な野菜や果物の摂取を中心とした食事スタイルをとります。

健全な細胞づくりに必要な栄養を効率よく摂取できる画期的な療法ですがオーガニックの野菜を揃えたり、ジュースにする手間がかかったりと、継続性の面で取り組みづらいのが難点です。

それぞれ一定の効果は期待できますが、病気の進行や患者の健康状態によっては、これらの食事スタイルを続けることが必ずしも安全とは言い切れません。

がん統合療法の権威であるアントニオ・ヒメネス医師は、がんの食事療法について次のように指摘しています。

「がん細胞は賢くて、毎日の食事スタイルに適応する性質がある。同じものを食べ続けるのではなく3、4ヶ月ごとに食事内容を変えて、がんの耐性ができないようにする工夫が必要です」